院長の独り言(食物アレルギー経口負荷試験は虐待か?)

このテーマは以前にも書いた。給食で誤って食べた小麦でショックを起こして搬送、入院の報道があった。季節柄、アレルギー検査、診断書を書くという作業が続いている。私にとっては、最もストレスと疲れの溜まる季節となった。今日は早めに仕事が終わり、天気予報を見るためにテレビをつけた。そこに、小麦の経口負荷試験の映像が。
0.3gの小麦を食べて蕁麻疹、ゼーゼーして苦しむ様子。翌日も食べて全身を痒がり、全身をかきむしる様子。呼吸困難で酸素吸入。ほとんどアナフィラキシーである。これを毎日繰り返すことで、食べることが出来るようになる?見るに堪えない様子の家内。私は「結局失敗したというオチだね」とつぶやいた。ところが、経口負荷試験を推奨する結末に。「何故?」「これって虐待?」と思ってしまった。
「本人は一度も嫌がらなかった」(記憶はさだかではないが)という、とってつけたような、いかがわしいコメント。「美味しい物が食べられるよ」とささやかれると、どんな子供でも嫌がらないだろう。嫌がらなければ何でもあり?これは医療ではない。
負荷試験は入院して行う。小麦のようなショックを起こす可能性の高い食物については、医師の管理のもと、点滴をつけて負荷試験を行う決まり。映像では点滴を付けていなかった?蕁麻疹が出たので、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)かステロイドらきし水薬を飲ませていたが、その薬のお陰で、翌日は少し多めの小麦を食べることが出来たのでは?ショックに近い状態になっていたので、普通はステロイドの静注を行うのが決まり。ステロイドを飲ませた可能性もある。ステロイドを使えば、小麦はもっと食べられるようになるはず。ステロイドの種類のもよるのだが、数日から2週間は効果(影響)がでる。ショックに近い状態になったら、負荷試験は中止になるはず。
使った薬剤の種類や影響を報道しないのは、明らかに意図的なものだ。あのような子供が苦しむ映像を流すべきではない。この負荷試験に客観性はない。あげくに実際の映像とは逆のハッピーエンド。不自然な「本人の希望」を強調する姿勢。余りにいかがわしい。このような報道をすると、食物アレルギーは認知されなくなる。キワモノ扱い?食物アレルギーの症状を見たことのない、大半の視聴者にとっては、「レアものの映像」にしか映らない。「これって、やはり虐待だね」と思わずつぶやいてしまった(独り言?)。