母という病

この言葉は岡田先生(精神科医)の本のタイトルである。この本を手に取った時、「母というお母さんの病」かと思った。「これって、母親が原因の子供の心の病のこと?」と言うと、素直な(?)家内は「普通はそう考えるのでは?」という言葉が。ひねくれ者の私は、子育てに失敗して、母親が鬱になるのかと思った。
私はこのブログで書評を書いたり、内容を批判するつもりは全くない。岡田先生も、ついでに先日会見したリケンの笹井先生も私の後輩であり、私はひいき目に見てしまう。私が買ってきた岡田先生のこの本を、家内は先日帰省した時に、新幹線の中で楽しんだ模様。「感想は?」と聞くと、「ちょっと、違うかなあ?」との返事。成人になってからの心の闇を、極端に言えば、乳幼児期の母親の接し方に原因があるという主旨に?がついたのだろう。私も同じ意見。
これは診察している対象が違うことが一つの理由だと思う。精神科の医師は、成長した精神疾患の患者さんを診察して、病気の遠因を乳幼児期の母親の接し方に原因があるのでは?と考える。私は母親が育てるプロセスを見ながら、成長した子供の精神状態も観察している。おそらく、精神科にかかる患者さんは、ごく一部の特殊な集団であり、私が接している患者さんとは、異なる集団だと感じた。つまり、接している集団が違うので、議論にならない。
ことわざは真理を突いている。「三つ子の魂百まで」これは正しい。小さい頃の経験は、記憶になくても、精神的に大きな影響力がある。その点を解析しても、記憶にない場合には、こじつけだと感じてしまう。母親と子供の距離の取り方は難しい。近すぎても、遠すぎても上手くいかない。正しい距離などない。「子供をいじりすぎるな。少し距離をおこう」というアドバイスが適切だと思う。親と子、ありふれた関係だが、正解のないテーマだ。