クループ様の咳

カゼをひいて、突然「変な咳」が出ることがある。息をする吸う時に「ヒーヒー」という音がして、呼吸が苦しそうとか、ケンケンという苦しそうな咳をするという状態。これを急性喉頭炎という。喉頭炎で呼吸が苦しそうな状態を、仮性クループと呼ぶ。仮性があれば真性クループもあるはず。真性はジフテリアによる喉頭炎を指すのだが4種混合ワクチンで予防されているので、ジフテリアは幻の病気であり、私は1例も経験はない。30年以上前に疑い例は1例経験したが、確定診断はできなかった。
クループは症状を示す病気である。カゼやインフルエンザは原因を示す病名。鼻炎、咽頭炎、喉頭炎、細気管支炎、気管支炎、肺炎とは病気が起こった場所を意味する病名。クループは重症型喉頭炎のこと。喉頭とは肺の入り口付近のこと。肺の入り口には声門(声帯)がある。呼吸をする時の入り口。その声門や声門の付近で炎症が起こると、息を吸い込む時に、声門がうまく開かなかったり、空気の通り道が狭くなって、呼吸が苦しくなる。この病態を俗称でクループと呼ぶ。
インフルエンザでも普通のカゼでもクループを起こす。原因はカゼなどのウイルスや、細菌感染、ウイルスと細菌の混合感染でも起こる。強い呼吸困難の場合には、デカドロンなどのステロイドを使うのだが、感染症に安易にステロイドを使う訳にはいかない。確かにクループは呼吸困難で入院することもある病気。
私の患者さんで、夜間にクループとなり、入院やステロイドの内服になった方もいるだろう。しかし、クループで来院されて、紹介入院となった患者さんは記憶にない。当院でステロイドを使った患者さんもいない。というより、当院にはステロイドは置いていない。正確には喘息のお子さんで、修学旅行でなどで、予防的に持って行く錠剤はあるのだが、使う事は数年に1回。大半は期限切れで処分されている。咳が止まらなければステロイド、クループでもステロイド、何と安易な発想で、私には全く理解できない。