角栄ブーム

今年は復刻版を入れて、50冊近い田中角栄氏の関連本が出版され、角栄ブームが起こった。私もそのブームに乗った一人だ。私が大学生の時に首相となり、日本列島改造論を訴えた。本当に勉強家で、議員立法を提出した数も、抜きんでている。しかし、金権政治という影が付きまとった。
日本のトップを選ぶアンケートでは坂本竜馬、織田信長、徳川家康、田中角栄が並ぶ。もはや伝説である。しかし、田中角栄氏に惹かれるのは、歴史上の人物ではないからだ。伝記や伝説は、ほとんどが根拠がない単なる理想像。田中角栄氏の関係者は、存命の方が多く、正確な証言が取れる。それも敵側からも味方からも。演説の映像もあれば、秘書の話も、そして、実子の語る角栄像もある。彼は才能豊かで、人の心を掴む強烈な個性があった。
佐藤栄作首相の後を福田氏と争うのだが、本命の福田氏を破って逆転当選する。福田氏の秘書が、「田中さんを今太閤と呼んだのは福田さんなんですよ」「はらわたは煮えくり返っていたと思うけど、福田さんは田中さんに悪い感情をもっていなかったのでは」というコメントを、NHKのアナザーストーリーで語っていた。角栄語録は実体験から生み出された、奥の深い言葉である。
米国、ソ連、中国と国家間でのにら意味合いの時代は終わり、経済的にも人間交流の面からも、国と国とが絡みあっている。単純に国交回復する時代は終わり、経済に視点を置いた外交が必要になっている。オスプレイの事故の米国側のコメントにしても、北方領土のプーチン氏の対応も、今の時代背景をあらわしている。「もし、角栄並みの政治家がいたら」と思う方も多いだろう。彼なら時代の流れを読んで、対応できた可能性は高い。現首相も良くやっているとは思うのだが。
彼の後継者である娘と剛腕で鳴らした政治家。師から何を学んだのか。全く逆の行動をとったため、人心は離れていった。おそらく田中角栄氏を反面教師としたのだろう。この後継者二人は、非常に共通点が多い。まともな弟子が育たなかったのが、彼の最大の不幸だったのかもしれない。