感染性胃腸炎?急性胃腸炎?ウイルス性胃腸炎?

今週末と年末年始の当院の予定は、前回のブログを参照してほしい。やっと嘔吐を主訴とする胃腸炎は少なくなった。冬休みに入った幼稚園も多く、小学校も22日で冬休みとなる。今年は曜日の関係で、早く冬休みになるため、病気の流行も早く終わりそうだ。インフルエンザの流行もなく、今週は静かな診療になりそうで、何だかほっとしている。年内に予防接種を予定されている方は、早めに来院してほしい。胃腸炎の名前についての問い合わせがあったので、いささか教科書的ではない説明をしておきたい。教科書的な話は、ネット等を参考に。
嘔吐や下痢が胃腸炎が流行している。問題は「感染性胃腸炎ですか?」とか「ウイルス性胃腸炎ですか?」、もっと直接的に言うならば、「この嘔吐下痢は、人にうつるのか?」という質問である。嘔吐下痢にも色々な原因がある。咳をして吐く、食べ過ぎで吐く、酒の飲み過ぎで吐く、牛乳を多飲して下痢、試験前にお腹が痛くなって下痢(過敏性大腸炎)、イベントの前に緊張して嘔吐、潰瘍性大腸炎など原因は多彩である。しかし、今回のような大量発生的嘔吐下痢は、感染症が原因である。つまり、子供で起こる嘔吐下痢の99%は感染性胃腸炎であり、「人にうつるか?」という質問はほとんど意味のない問いであり、答えは当然YESである。
感染性胃腸炎にも色々な言い回しがある。食中毒(これは食事が原因で起こる胃腸炎の総称)、細菌性胃腸炎(狭義の食中毒)、ウイルス性胃腸炎(ロタやノロが代表格)、ウイルスか細菌性かわからない場合を感染性胃腸炎、または「単なる胃腸炎」とか嘔吐下痢症といういい加減な病名でごまかす。
胃腸炎の中で最も感染力が高い、つまりうつり易いのはウイルス性胃腸炎である。現在流行している嘔吐を主訴とする胃腸炎はウイルス性であり、保育園や幼稚園、小学校でも大流行して学級閉鎖にまで至った事例もある。細菌性胃腸炎は極端な流行はしないが、手洗いなどに注意を怠ると、じわじわと感染が広がってくる。保育園で病原性大腸菌O157の症例が出て、クラス全員を調べると多くの保菌者が見つかる。ユッケ騒動は病原性大腸菌O157やO111による食中毒で、これも細菌性胃腸炎である。
繰り返しになるが、胃腸炎は基本的には伝染する。「うつる」と言うと、当分の間は登園や登校は禁止。だから、ノロとかロタ、ウイルス性胃腸炎、感染性胃腸炎は言いにくい、「単なる胃腸炎ね」と言ってしまう。次に「じゃあ、うつらないのですね?」とくる。「まあ、うつらないかな?」という適当な返事。「保育園に行っても大丈夫ですね。休めないので良かった」というお母さんの笑顔を見て、これで良かったのだと自分を納得させている。
「うちの子にうつったらどうしてくれる」という意見があってもいい。被害者がいつ加害者になるかわからない。お互い様という考えもある。さらに、いつまで感染力があるのか、誰も明言できない。私は多くの背景を総合的に判断しながら、生活指導をしている。
ついでに、今回の嘔吐騒動の20%以上は溶連菌感染によるものだと推測している。溶連菌感染に伴う嘔吐を感染性胃腸炎と呼ぶのか?答えはNOである。